就職とかの話

最近、自分の身の回りで、就職難にぶち当たっている人が目立つ。偶然じゃなくて、紛れもなく時代のせい。経験値の低い人が、経験を積むことができる環境を手に入れるのが難しくなっている。キャリアアップもへったくれもない。
かといって、いま会社勤めができている人が安泰かというと全くそうではない。いわずもがな、終身雇用・年功序列の時代はおおよそ終わってる。いま20代の人が30代になったとき、あなたはどんな暮らしをしているだろうかと問うと、割と多くの人が、現在よりも夢膨らんだ生活のイメージを返してくる。でもいまの社会を見る限り、実際はそううまくいくとは到底思えない。「歳をとる=いまより収入が増える」ということを想像しがちだが、未来の自分はいまの自分の延長でしかなく、現時点である程度の設計図がないのに、そんなキャリアアップなどできるわけがない。10年たっても20年たっても、自分はいまと同じ仕事しかできない。当然、それに見合った報酬しか貰えない。要するに、給料は上がらない。
もし、一生のどこかで起業するつもりがないのなら、それは一生サラリーマンとして誰かに雇われ続けて、給料で食べていくということ。給料を上げるには、会社の中で立場を上げるか、もっと給料をくれる会社に移籍するしかない。会社に何らかの利益をきちんともたらすことができると認められて、必要とされる人材(=他社に行って欲しくない人材)にならなくてはいけない。ひとつの会社で定年まで働けて、満足のいく給料や退職金が貰えるならばそれに越したことはないのだろうが、時には他の会社への移籍をもってしなければ、生活水準のアップが見込めない場合もある。果たしてそのとき、自分は前の会社で何をやってきたのか、何ができるのかをきちんと言葉で説明できるのだろうか。これ、すんごい大事。面接官だって、一瞬のうちにあなたを判断しなくてはならないので、その場で見せてくれたあなたが、あなたの全てになってしまう。
分かりやすいエントリがあったので、せっかくなので貼っておく。新卒の人向けの内容らしいけど、あんま世代はカンケーないと思う。


就職氷河期世代が30代までに居場所を模索するための5つの習慣
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20100312/nb


「実際のところホワイトカラーの仕事って大概は事前調査・利害調整・段取り・人間関係のケア・望ましからぬ状況から抜け出す力といった曖昧模糊とした何かで、相手や内容に応じて英語やら専門知識が必要となる場合もある。アルバイトや派遣労働で蓄積され難いのはそういった諸々を自分から世話する能力で、だから頭の柔らかい間に場数を踏んで面倒な仕事は覚えておくに越したことはないし、英語やら資格よりも汎用性が高い。」


このあたりに大変同意。「コミュニケーション力」とか「社会人力」とかいう曖昧な言葉が指してるのも、このようなことでないかと思う。専門知識や英語は、この能力を発揮するときに必要となる、いわば素材でしかない。だから専門知識ばっかりとか英語ばっかりみたいな修練を重ねても、正直、実になりにくいのが実態だ。結局のところ何ていうんだろうな。「総合力」とか、ますます曖昧すぎる。言葉で説明しづらい能力だと思うのだが、それが育っているかを自覚し、他人に伝えられるようにならねば。です。
読み返したら、全然就職の話になってないな。キャリアの話だった。あと、正社員と同じ程度の仕事をしているのに、まったく立場が好転しない非正規雇用の話。これは別件として問題で、問題っていうか大問題で、新卒は採用するのに現状の戦力は正規戦力とみなさない、っていうのが自分にはまったく理解できない。

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