把瑠都なんとか

■缶コーヒー業界もこんなに大変なんですよ
みたいな特集を、こないだ「ガイアの夜明け」か何かでやってた。缶コーヒーの味は、コーヒーとミルクの微妙な配合を何度も何度も繰り返して、何百本も試作して、ようやく製品として認められるものらしい。開発者の人は相当な苦労をしていた。試作品を何度も飲み比べていたが、よく舌が麻痺しないもんだと感心。
ということをふと思い出して、今朝はその苦労の結晶を堪能しようと思い、番組で特集されていた『FIRE 火の恵み』を飲んでみた。が、日頃から缶コーヒーを飲んでいるわけではない自分には、唯一味を覚えている『エメラルドマウンテン』と比べると、『FIRE』の方がやや苦みがあるというくらいしか違いが分からず。自分だからこれしか分からないのか、これだけ分かれば充分なのか、馴染みのない業界なのでよく分からない。開発者の苦労を目の当たりにしたにも関わらず、ほんの3分で飲み干し、「うまい」くらいしか思わない。作り手の計り知れない苦労によって生み出された商品でも、その消費は一瞬。特に料理がそう。これは最近強く思う。献立を考えて、材料を買いに行って、精魂込めて時間に気を使って、ようやく完成するのが料理。人はこれを数分でたいらげる。作り手にしてみたら、この「うまい」のために頑張ってくれてるのだろうからこれで充分と言うかもしれないけども、何だかちょっぴり申し訳ない。
PS3ファイナルファンタジーXIII』は、これを地で行ったと感じる。とりあえず土日でガチプレイ。作り込みが普通じゃない。ちゃっちゃと進めている自分は、たぶん愚か者である。アマゾンのレビューはネガキャン多し。賛否両論あるのは当然だろうが、自分はいまのところ、彼らと同じ感想を持てそうにない。(11:03)

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PS3FF13』を2日間プレイ@ネタバレなし
20時間超えした時点での感想を要点だけ。思い付いた順。
まず、「戦闘はボタン連打で単調〜」とかいう評判はまったくの嘘。ゲームが進むと、オプティマの調整・変更なくしてはザコ敵にすら苦戦。ボス戦にあっては、個人的にシリーズ中で最も苦労を強いられている。このゲームの戦闘は、最近のJRPGに比べて、実は難易度がかなり高い。テンポがハイペースで『FF12』のノリに近く、『FF12』の強敵モブ戦みたいな作業が本編中で何度も発生する。楽しい半面、疲れる。昨夜、最後に戦ったボスがしこたま強く、何度か全滅してようやく勝ったときも、恐らく15分は戦ってた。あれみたいなのが今後たくさん出てくるとなると、否応にもゲーマー心を掻き立てられる。ストーリー進行度ごとにキャラの成長に上限が設けられているため、キャラをめいっぱい育てても、そこから先は戦闘に勝ち抜くゲームプレイそのもののスキルが求められる。バイク型の敵のウザさは異常。全滅時のリスタートは意図的な仕様。にわかゲーマーを完全に拒絶。開発陣は恐らく、初心者をクリアさせるつもりはない。それが良いか悪いかは別として、そんなゲームだと思われる。個人的には、JRPGとしては充分に面白い部類。まずは馴染むことが必要だが、馴染んだらこの戦闘バランスが神調整であることに気付く。これは文句なしに凄い。あと、あまり気付かれないが、インスコしてないPS3のソフトでこのロードの速さは大したもの。
アマゾンのレビューを見ると、「なぜオート戦闘にしたのか」「なぜ街がないのか」「防具がないのか」などという感想がある。気持ちは分かるのだが、そのようなゲームを遊びたければ、大人しく旧作のリメイクで遊んでいるとよい。こないだのXbox360ラストレムナント』の戦闘なども賛否両論だが、こういうJRPG独自の進化を目指そうとする姿勢は評価してあげたいところ。消費者が騒ぐことでゲームが面白くなるのなら、いまごろとっくに神ゲーばかりである。8bitゲーからのプレイヤーは、大人になって目が肥えた。FPSや箱庭ゲーが流行り、日本のメーカーが衰退し、さらにHDだからといってゲームが面白くならないことも充分分かったのが“現在”である。いまはこういう時代なのだ。HDハードが統一され、このクソゲー過多時代を経験したクリエイターが世に出たとき、また少しずつ色んなものが良い方向に向かっていくと思われる。でも、どんなタイトルにおいても開発陣の満足とユーザーの満足のズレは永遠の課題。これが無くなることはない。ゲームとはそういうものである(キリッ
ムービーの出来はさすがスクエニということで片付ける。あとは、フィールドの描き込みが恐ろしく細かい。どんだけ金と時間をかけてるのかと。質感なら最近の洋ゲーもまったく負けてないが、さらにこれだけの量を詰め込めんだのには恐れ入った。印象としては、グラフィックの質・量ともにXbox360ギアーズ・オブ・ウォー2』とほぼ同等かそれ以上。体力がある会社でなければ、こんな力技は無理。ゲーム途中に度々挟まれるイベントは、ほとんどがリアルタイムレンダ&フルボイス。街中のどうでもいいNPCもすべてフルボイスなのは恐れ入った。どんだけ金と時間をかk
ストーリーはどうにも詰めが甘い印象。ボキャブラリーが貧弱。プロが書いてるにしては、セリフに安っぽさが漂うのはなぜだろう。「なんとかする」「突っ込むぞ!」「ぶっ潰す」「セラがうんたらかんたら」「おれはどうすればいいんだ」「うわあああああああああ!!」みたいな、根拠の薄い感情的なノリでストーリーが進みがちなあたりがちょっと残念。各キャラの個別の描写は細かくて素晴らしいけども。また、ゲーム開始以降、しばらく一本道なところが多くのプレイヤーにはウケていない件。20時間遊んだが、確かに雑誌に出てきた召喚獣などもまだ出揃っておらず、いまのところ自由度が低い。恐らくまだまだ壮大なチュートリアルの真っ只中。このゲームには“数十時間に及ぶチュートリアル”が盛り込まれている。これを理解し、乗り越えられるかで、ゲームの評価は恐らく大きく変わってくる(と思いたい)。この辺の設計方針には世論同様、いささか疑問を覚えるところ。とはいえ、それではいままでのナンバリング『FF』は一本道ではなかったのか?否。本編ストーリーはどれもこれもが一本道で、自由に好き勝手やれるのは空を飛べるようになってからがほとんどであった。このゲームが一本道と言われる所以は、恐らくフィールドマップ的な移動が無いから。用が無いところに行けない。能動的にストーリーを進めたと感じられないから、こういう印象を持たれている気がする。あと、最近では洋ゲーが本当の意味で自由度が高い。それと比べられると確かに閉鎖的だ。しかし、『FF』として見れば、本質的にはやってることはこれまでと対して変わらないのだ。まあ、自分も一本道だなーとは思ったけども。エリアのマップがガチで一本道なのは吹いた。最後に、武器の改造システムが、素材が多い割に薄っぺらい気がしているのは気のせいか。
とりあえず以上。比較的に肯定的な意見でまとめたが、もはや発売しちゃったものだし、買っちゃったものだし、祭りだし、否定しても自分が情弱ってことになってしまうが故のことである。作り込み然り、詰めの甘さ然り、色々と苦労して作ったんだなーということはよく分かる。“『FF』の新作を作る”ということは、もはや呪いみたいなもんなのだ。関わった人は名誉でもあり、かわいそうでもある。願わくば後半でさらに面白くなってほしい。後半の評価次第では、シリーズトップクラスの面白さになってくれるような気がしている。何度も言うが、素人は買わないほうがよい。たぶんクリアできないから。素人というか、恐らく今回の猛烈な広告展開のターゲットである、ゲーム離れした人たち。キレイなだけで買うと、自分にもゲームにも、両方に対して悲しい結果になるに違いない。
次回へ続く。(12:35)

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