いっしょにしょっと

■kakifly
今回ばかりは事実である。『けいおん!』が巷で流行っているようだが、自分は去年、このブームが来る遥か以前、第1巻が発売された当時この漫画を発見して購入。まだ『らき☆すた』の余韻が残りまくっていた時期であったため、この二番煎じたる本作については特に誰にも語ることなく、いちマイフェイバリットコミックとしてひっそりと今日までやって来たのだ。それがどうだ。なんだこの流行具合は。どこもかしこもけいおんけいおんかましいこと限りなし。例によって主題歌まで流行り出して、複雑な心境以外の何ものでもない。
そもそもこの漫画、どこを探してもなかなか置いてなかったのだ。大きめの本屋に行っても在庫はせいぜい1、2冊。近年に大量生産された“ゆる4コマ”の一角に過ぎず、そんな作品群の中に埋もれに埋もれまくっていた。去年、近所の西友で雑多に並べられた4コマ漫画コーナーから、おれがたった1冊の在庫を見出して消化して以来、その後は一切入荷する気配がなかったのだが、今日その棚を見てみたら、手のひらを返したように山のように積んである始末。専用コーナーまで出来てやがる。ブームとは本当に恐ろしい。おめーらついこないだまでガンスルーしてたろうがと、相手も目的も意味不明な怒りがふつふつと湧いてくる。まさに熱病。一度火が付けばどこまでも広がる。いま眠っている作品のなかにも、1年後にバカ流行りするものが間違いなくあるのだ。
ゲームでも漫画でも、流行らずに、ひっそりとマイブームのまま終わってほしい作品がある。自分はこの手のブームを先読みするセンスも知識もないのだが、今回ばかりは驚きとともに、もはや“みんなの『けいおん!』”と化してしまった事態に、いささか寂しいものを覚えた。『らき☆すた』もそんな作品であったかと思うと、アングラ時代からのファンに対して、にわかな自分を申し訳なく思ったりする。こういう「前から知ってたぜ!」的な感覚は、流行り始めてからアピったところで全く見苦しいものである。訴えても仕方がないし、誰に対する怒りでもない。アピるほうもアピられるほうも、何の特もない。なんとも複雑な心境である。
これ見て「ギター買おうかなw」とか考える輩が発生するのもまたしかり。にわかなら大金を使うべきではない。せいぜい、『ギターヒーロー』と『ドラムマニア』辺りにとどめておくのが身の程というものである。(15:29)

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