愛国者達

■『MGS4』滞りなく終了
土曜日にクリア。プレイ時間は、20時間ちょい。自分としては結構のらりくらりやった。寄り道もしたと思う。発売してまだ間もないので、感想はここに書いていいものか。でも書こう。

【以下、ネタバレ多し】※これからプレイする人は速やかにブラウザを閉じるべき。





語りたいことがたくさんある。のだが、語彙力が無い自分にはここにひとつひとつ文章を起こすのが辛い。
ストレートな感想としては、「贅沢な『MGS』ファンディスク」だった。これまで『MGS1』『2』『3』をやってきた人には、たぶん最高に楽しい。3作はすべて複雑に絡み合い、繋がっている(PSPMPO』ももちろん絡む)。お前もかというくらいこれまでのシリーズの脇役含むほぼ全キャラが登場し、人脈的に関連付けられ、ストーリーに噛んでくる。個人的には、愛国者達を作ったのはゼロ少佐、設立メンバー=『3』のメインキャラ、ビッグママ関連の演出、DARPA局長=シギントというあたりがグッときた。そしてそれらのキャラが、それまでの生き様に比例して、幸せになったり、死んでしまったりする。実直に生きたキャラは、エンディングで全員がそれぞれの幸せを手に入れる。雷電ローズマリーは再びくっついた。キャンベルGJ。実にめでたい。

旧作のキャラクターや設定が頭に入ってない人には辛いかもしれない。『MGS』にまったく触れてこなかった人は随所でストーリーを見失う可能性があり、たぶん中古に売りたくなる。さらに小島監督がせっかく丁寧に散りばめてくれた小ネタに気付かず、それを楽しめないだろう。非常にもったいない。旧作でストーリーが大風呂敷を広げている上に、今作は“最終章”としてそれをまとめあげなくてはならない。そのため、膨大なムービーでそれを補完している。プレイ時間のほぼ半分を占めてるような感覚だったので、“ゲームと映画の境界線を無くす”という意味では成功しているのかもしれない。このせいか、ロードとインストールがこまめに入り、ゲーム全体のテンポは速くない。

フィールドの作りこみ、武器設定、画面のクオリティがハンパない。特に武器設定とその解説は、見たことないくらい細かくてマニアック。ただ、その凄さは伝わるのだが、ミリタリーマニアではない自分にはどこが凄いのか具体的には言葉にできない。「なんかすげえwwwwりあるwww解説細かすぎwwww」というかんじ。でも本当に凄いのだ。現実に存在する武器がほとんどなので、恐らくマニアにはたまらないんだろう。「高価な何か」を見せられてすげーすげー言ってるような感覚。
逆に、それらのフィールドやら武器やらを使って新しいゲーム性を作れたかというと、決してそうではない。敵AIもこれまで通りのアホだし、ゴリ押しでの進行も通用する。ステルスしなくてよい。難易度のハードルも旧来と同じくらい。無印の『3』よりは低く、初心者でもとっつきやすそうだと感じた。

そもそも『MGS』はステルスゲームと謳ってはいるものの、ステルスするかどうかは1作目から自分の意思で選ぶことができた。今作ではガンシューティングの要素が加わり、それがますます顕著になった。本作はステルスゲームの先駆者ではあるが、もともと“ステルス強制ゲーム”としては作られていないのだ。そして、先に述べたような“作り込み要素”もウリのひとつ。これらがまとまっていることで『MGS』としての評価を得ていたはずだ。

ゲームとして一段階上の面白さを求めたか、“『MGS』という作品”として一段階上の面白さを求めたか、この『MGS4』新作に対してどちらの期待を持っていたかによって、楽しめる人とシラける人がまっぷたつに分かれると思う。これは膨大な時間と金をかけて作られた贅沢な箱庭。ストーリー、武器、風景、敵AI、小ネタ…、本作に詰め込まれたこれらの要素を、この感覚とクオリティで世に出せるのは小島監督しかいない。というか、小島監督ならではの“SENSE”があったからこそ、ここまでヒットしてきた作品だ。小島秀夫ワールドはとうの昔に完成しており、『MGS4』でのこれらの要素をパーツごとに見ると、レベルは更に高くなっている。

これまでのシリーズを存分に楽しめた人、すなわち、“小島監督がユーザーに期待する『MGS』の楽しみ方”ができる人は、間違いなく買い。そうでない人は買うのをやめたほうがいいかもしれない。とはいえ、遊んでしまってから気付くのではもう遅い。それは不満にしかならない。こう書くと間口が狭い。完成前、小島監督は「『MGS』ファンのために作った」と話していた。遊ぶ人・楽しめる人を選ぶという意味でも、本当にその通りの仕上がりになった。むしろ、よくこの仕様で制作を貫き通したものだと思う。

シリーズの集大成。プレイ中は、これまでのシリーズのあらゆる要素が収束し、何かひとつの結論を出し、終わろうとしているのがはっきりと分かる。今作でソリッド・スネークはボロボロになる。もう休ませてやりたい気持ちに駆られる。既に続編の制作も発表されているが、個人的には「これで終わりにするつもりだった小島監督の意思」をまじまじと感じた気がした。

ストーリーが進むにつれ、サニーがどんどん可愛く見えてくる。iPodで「おいしいツーハン生活」を流すと、メニュー画面のウィンドウで彼女が踊ってるところを見れる。いい子である。結婚したら息子がほしかったのだが、娘も悪くないなーとか、そんなしょうもないことを思ってしまった。(11:22)

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